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9坪2006
先週のこと、、、

今年も祭りました。
「9坪2006」

9坪2006_c0059140_2039111.jpg
















提出間際のキタナカホワイトは熱気につつまれ、皆無事に提出した。
今回の祭りの感想を少し書きます。

大勢でコンペをやるのは楽しい。
iちゃんが素晴らしいアイディアを出してそれに刺激され、
hmちゃんがなかなか手をつけずにず〜〜っと膝を抱えて熟考してるかと思えば、
次の日には既に完成してるのを見てびびったり、
yst君のマイペースっぷりに感心したり、
mnrのバカっぽいタイトル(結局違う案で出したようだけど)に大笑いしたり、
harihariの大人げない設計(しかも相当イイ)と神降臨的余白使いに溜め息が出たり、
どれもさすがの一品でとても見てて勉強になった。
電化住宅がテーマだったけど、それを鮮やかに9坪のセカンドハウスとして提案するのは難しかったし、みんな苦労したんだと思う。


それと、僕の提出したものについて少し書く。


「尺度」について

今回9坪コンペをやっている時に考えていた事は、実は電化についてでなく、
「尺度」についてだ。
まず、セカンドハウスの意味がいまいち分からず、誰かに聞いたら「別荘」という答えが返ってきた。それでまず「どこにつくるか?」を考えた。
ふと大草原に決めた。以前後輩のsmdが草原の家を設計してるのを見て、面白そうだったから。。。すると、広大な草原(地平線が見えてしまうような)にちっさい9坪の家なんかを作ったとしたら9坪の面積の持つ意味が変わると思った。
9坪ハウスは「小さい家にどれだけ工夫して豊かな住環境を獲得できるか」といった事が主題だったりするわけだけど、この段階で僕の中での主題は

「広大な自然に対して9坪という小さい家がどれだけ関係を持てるか?」

に置き換えた。いくら広大な自然に向かって開いた開口を作ったり、風景を切りとったり、生活が外に広がるような開放的な設計にしても、何か腑に落ちない感じがした。
そこで考えたのが小さな家特有の「尺度」を徹底的に消してしまう事。
外形は9坪ハウスの原則を踏襲しつつ、どこもかしこも9坪ハウスらしからぬ尺度になるように設計した。そうすると関係性として広大な自然と連続する、様に感じた。。。
草原の中にこつ然とあらわれる大きな壁(大きな扉だけど)、天井が抜け落ちてしまった遺跡のような場所、巨大な組石造の一部のような場所など、到底小さな住宅では見られない尺度の空間の断片。それでも、ちょっと離れて全体を見てみれば、それはそれは小さな小さな9坪ハウス。
大草原の中ではそんな感じの建ち方が腑に落ちた。

でもこれじゃあまりにもコンペのお題から遠くそれこそ地平線の彼方まで離れてしまったので、思い悩んだ挙げ句の果て、ちょちょっと図面に加筆して、以下のような文章を書いて提出しました。


9坪2006_c0059140_214965.jpg



「大草原の大きな扉」
様々な電化製品は、家を成立させるための「屋根」や「壁」と同様に、「ある場所」を住環境化する役割を担っているのではないだろうか。

この大草原に建つ小さな家には、大きな扉(9坪ハウスの外形で可能な限り大きな扉)があり、その内側にコンセントが一つある。
仮に、その扉を閉めている時、家の中は「電化された空間」である。
しかし扉を大きく開け放つと、コンセントは草原の中に放たれ、「電化された草原」になり、家の中は「非電化のからっぽな空間」になる。

例えば、照明やテレビも無く自然光と風の音に包まれるような「非電化の住宅」と、「屋根」「壁」は欠落しているが、大きな空の下で料理をしたり音楽を聞くといった「電化された草原」では、はたしてどちらが「家らしい」かは、あいまいであるが、より草原のような自然のもつ環境に近づいているように思われる。




以上、出したった〜〜〜〜

そろそろ芸が無いと思われそうだ。。。
でもまだまだ考える価値はある。はず。
by seiji_kamayatti | 2006-08-30 21:49
<< ANDO 風景に溶け込む、にも程があるだろ。 >>



 釜萢 誠司 / Architect
by seiji_kamayatti